アートト

ラディカルな歩行と表現の可能性(ReW)

スクール

定員10名 全6回

2025年9月〜11月 火曜日19:15〜21:15

人が生まれてはじめに獲得する移動手段「歩行」を社会学的また人類学的にとらえ直します。スマートフォンなどのデジタル端末やアプリによって時間と空間が測られ、歩くことがデータや社会的な目的に管理されている時代において、目的をもたずにぶらぶらと歩くことにはどのような意味があるのでしょうか。レベッカ・ソルニットやトマス・エスペダルなどのテキスト、また関連する芸術家の実践に触れ、歩くことのラディカルさについて考えを深めます。すべての回は小澤慶介が担当します。

歩いて世界に出会うこと

9月16日(火)19:15 – 21:15

講師:小澤 慶介


みずから足を一歩いっぽ踏み出し、曲がりくねったり、登ったり下ったりする、ふだんは通らない道をゆくことで、どのような世界に出会えるのでしょうか。それは、自動車や電車、飛行機など外から隔絶されたカプセルで移動するのとはまったく違う経験になることは想像できます。レベッカ・ソルニットのテキストを読みながら、「歩くこと」について考えはじめます。

歩くことを遠ざける社会で歩くこと

9月30日(火)19:15 – 21:15

講師:小澤 慶介


日常生活において歩く機会が減ったということは、歩かなくてもよい街づくりがされてきたということができるでしょう。自家用車の普及や幹線道路・鉄道の整備、公共交通網などの発展が必要以上に目的化され、それによって街ができるとき、歩くことあるいは歩くための道はどのようになったのでしょうか。引きつづきソルニットのテキストを読みながら考えます。

歩くことから世界を見つめ直す

10月14日(火)19:15 – 21:15

講師:小澤 慶介


人類学者、ティム・インゴルドのテキストを読みながら、管理された時間と空間を移動するのではなく、みずからの意志と力で歩を進めることについて考えます。それは、タブレットなどの端末機器にすべての感覚を預けることではなく、むしろすべての感覚を開いて手さぐりで道をゆくこと。このことを支える文化があるとしたら、それはどのようなものになるでしょうか。

いま、歩くことのラディカルさを考える

10月28日(火)19:15 – 21:15

講師:小澤 慶介


引きつづきインゴルドのテキストを読みながら、歩くことで世界を経験し知ってゆくことについて考えます。アボリジニのソングライン、またエミリー・カーメ・ウングワレーやベティー・マフラー、ナミナプ・メイムル−ホワイトの作品などに触れ、歩くことと身体と土地の関係を再考し、私たちが生きる近代社会をとらえ直します。

表現する人たちはどう歩いたか?

11月11日(火)19:15 – 21:15

講師:小澤 慶介


歩くことをモーチーフに作品をつくっているアーティストたちに注目します。1950年代フランスのアンテルナショナル・シチュアショニストの実践から2000年代のフランシス・アリスなどの作品、またトマス・エスペダルの小説に触れながら、イメージ・身体・場所の関係を検討することで、歩くことがどのように芸術になるのかについて考察します。

歩くことを祝福すること

11月25日(火)19:15 – 21:15

講師:小澤 慶介


社会的、人類学的、またアートの観点から紐解いた歩くことについて、もう一度そのラディカルさを近代社会との関係でとらえ、まとめを行い、ディスカッションをとおして実践への展開方法をさぐります。