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リーディング 歩くことがアートになるとき(Re W)

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歩くことがアートになるとき(Re W) 定員10名 全6回

2024年6月〜8月 火曜日19:15〜21:15

歩くことは表現への第一歩であるということについて、著述家のレベッカ・ソルニットや人類学者のティム・インゴルドのテキスト、またフランシス・アリスなどのアーティストの実践をとおして考えます。情報端末やサービス、発達した交通網や機器によって、歩くことから遠ざけられている現代、自らの足で世界に出会うことから表現の可能性を考えます。すべての回は小澤慶介が担当します。

歩いて世界に出会うこと

6月11日(火)19:15 - 21:15


生まれてはじめて獲得する移動の手段である「歩くこと」は世界を知ることとどう関係しているのかについて、レベッカ・ソルニットのテキストを読みながら考えます。コロナ禍において人は目的のないそぞろ歩きを楽しんだものでしたが、それも過ぎ去った今、人はまた目的地までの最短距離と効率性を追い求めているようです。そうした状況も踏まえながら「歩くこと」の質と意味について考えはじめます。

歩かせない社会で歩くこと

6月25日(火)19:15 - 21:15


引きつづきソルニットのテキストを読みながら、人を歩くことから遠ざけようとする近代社会の思惑と実際の都市づくりについて考えます。戦後、モータリゼーションや鉄道網の整備などで移動の手段が多様化・緊密化するとともにその範囲も飛躍的に広がりました。車か電車、飛行機での移動が当たり前になった社会では、あえてぶらぶらと歩くことの意味をさぐります。

歩くこととアートの実践

7月9日(火)19:15 - 21:15


1950年代フランスのアンテルナショナル・シチュアショニストから2000年代のフランシス・アリスなどのアーティストまで、「歩くこと」をモチーフにした活動や作品について考えます。それらは、社会のあり方や特異な場所性、さらに機器の発達によってさまざまな展開を見せます。彼らが「歩くこと」で表現をする動機についても自由に思いをめぐらせてみます。

歩くことから世界を見つめ直す

7月23日(火)19:15 - 21:15


自らの意志で歩いて世界を知ることについて、ティム・インゴルドのテキストを読みながら考えます。スマホやタブレットなどの機器や移動を管理するアプリが歩行を補助するとき、そこでは何が失われるのでしょうか。反対に、行き当たりばったりに進むことは、歩く人の身体のみならずその文化を支える社会、出会う世界がどのようなものであることを知らせるでしょうか。

歩くことと世界の多様性について

8月6日(火)19:15 - 21:15


引きつづきインゴルドのテキストを読みながら、歩くことをめぐる文化と世界の関係について考えます。アボリジニのソングライン、またエミリー・カーメ・ウングワレーやベティー・マフラーのドローイングなどにも触れながら、歩くことと身体と土地の関係について再考し、私たちが生きる近代社会を相対的にとらえます。

まとめ

8月20日(火)19:15 - 21:15


コースをとおして考えたことについて意見や感想を出し合います。近代社会において歩いて世界を知ることの意味と歩くことは表現への第一歩であるということをもう一度確認し、実践への展開方法をさぐります。