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リーディング 芸術祭の読み解き方 アートプロジェクトの人類学(RAP)

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リーディング 芸術祭の読み解き方 アートプロジェクトの人類学(RAP) 定員10名 全6回

2026年9月〜11月 火曜日19:15〜21:15

芸術祭やアートプロジェクトを人類学の観点から読み解く試みです。それらは、関わる人々のコミュニケーションや地域創造の観点から議論されますが、具体的な過程で起こる人や生活文化の変化などをとらえた議論と理論化が果たされずにいます。そこで、社会における芸術のはたらきに焦点を据えるアルフレッド・ジェルの著作『アートとエージェンシー』を柱に、関連するテキストや参与観察の事例に触れながら、絶えず動き続けるアートプロジェクトについて考えを深めます。

すべての回は兼松芽永が担当します。

「芸術の人類学」とは?

9月15日(火)19:15 – 21:15

兼松芽永


グローバル化以降、現代アートではマイノリティの文化や混淆的表現への関心が高まっていますが、非西欧を主なフィールドとしてきた文化人類学では、なにを「芸術」と捉え、どのような視点から議論してきたのでしょうか。アルフレッド・ジェルの著作を読みながら、芸術を「社会の中で作用するもの」としてとらえ直し、アートや現代の表現を読み解く視点を広げてゆきます。

魅惑する技術としてのアート

9月29日(火)19:15 – 21:15

兼松芽永


私たちはなぜ、ある作品に強く惹きつけられるのでしょうか。ジェルの「魅惑(captivation)」と技術(わざ)に関する議論を手がかりに、アートが人の意識や行動を引き出す仕組みを読み解きます。呪術の事例から出発し、超絶的な技巧や先端技術を伴う現代アートの作品とも比較しながら、「作品の力」とは何かを具体的に考えます。

アートの「社会的はたらき」を考える①

10月13日(火)19:15 – 21:15

兼松芽永


作品を「世界を変えることを意図した行為のシステム」と捉える、ジェルの「芸術のネクサス理論」の基本用語と枠組みを解きほぐします。人やモノが「エージェンシー」(相手にはたらきかけて出来事を引き起こす力)を発揮する「芸術らしい状況」とは、具体的にどんな関係性なのでしょうか。地域の人やモノと関わるアートプロジェクトの事例・文献に触れながら、文化風習や歴史・記憶を示す「インデックス(指標記号)」としてのアートの成り立ちに迫ります。

アートの「社会的はたらき」を考える②

10月27日(火)19:15 – 21:15

兼松芽永


水玉を見て草間彌生を、十字架を見てキリストを思い浮かべるように、作品や図像(イコン)には人格のようなものが備わっているとともに、そのイメージは世界各所に偏在しています。個別の作品のまわりに広がる人やものごとのネットワークに焦点をあてる第7章を読みながら、参加・協働型アートをどう捉えられるか、考えてみましょう。

アートプロジェクトの人類学:芸術祭をめぐって

11月10日(火)19:15 – 21:15

兼松芽永


「芸術のネクサス論」やここまでの現代アートの議論をふまえ、恒久設置作品や長期プロジェクトが展開する、持続的取り組みとしての「大地の芸術祭」の事例を検討します。ジェルの時間論やアーティストの制作体験に関する文献を手がかりに、「行為のシステム」としてアートが機能する/機能を失うプロセスや、芸術祭をめぐる課題について議論します。

拡張するアートへの視座:文化と表現実践のあいだ

11月24日(火)19:15 – 21:15

兼松芽永


ジェルの視座は、作品のまわりに広がる重層的なネットワークを可視化する一方、道徳や政治経済など複数の「行為のシステム」が衝突したり、複数の作品がグローバルに影響しあう過程までは射程が及んでいません。全体をふり返りながら、多様な言語や地域・ジャンルを超えて変化し続ける昨今のアートプロジェクトや表現実践についてどのようにとらえうるか、受講生のみなさんと事例に基づきディスカッションします。