アートト

時代の転換期と芸術

スクール

自由を求めて 個の可能性と大正時代の芸術

7月2日(日)14:00 - 16:00

講師:小澤慶介


日本において近代国家が形づくられようとしていたとき、国権と民権あるいは権力と自由のあいだで、個の表現はどのように揺れ、花開いたのでしょうか。海外と国内、都市と地方、大震災などをキーワードに、田園の風景を描いた小川芋銭や路上を観察しながら都市の変化をとらえた今和次郎、またドイツのダダイズムに影響を受けた村山知義の「マヴォ」などをとおして考察します。

第一次世界大戦は人間と芸術をどう変えた?

7月16日(日)14:00 - 16:00

講師:小澤慶介


1914年から4年間つづいた第一次世界大戦は、総力戦と軍事技術開発、スペイン風邪の流行によって多くの人々に悲劇をもたらしました。戦場から日常生活まですべてが戦争になり、人間の理性が破壊されてゆくとき、芸術もまたそれまでに見なかったものへと変貌してゆきます。オーペンやヴァロットン、グロスなどは、そうした時代にどう関わり、何を伝えようと、また何を残そうとしたのか。はじめての世界大戦に向かったアーティストの逡巡や葛藤の形を追います。

アート、完成なきゲーム

10月28日(土)16:00 - 18:00

講師:中尾拓哉


アートのなかにあるゲーム性について考察します。ここで重要なのはアートをいわゆる「ゲーム」へと置き換えることではなく、そもそも制作行為のなかにゲーム性があるという視点をもつこと。マルセル・デュシャンが既製品を選んだだけの「レディメイド」をきっかけとし、この人物が専心したチェスを手掛かりに、現代アートにおけるゲーム性を分析していきます。完成を目指す「つくる」ではなく、なぜ「選ぶ」なのか。その時、制作行為とはどのようなものとして考えられるのか。従来の美術史的な解釈を離れたところから改めてさぐります。

アート、閉じざる思考と形

11月18日(土)16:00 - 18:00

講師:中尾拓哉


マルセル・デュシャンがチェスに見出した高次元性や、シュルレアリストたちが遊戯として実践した偶然性の問題を取り上げ、モダンアートにおいて模索された制作のあり方を紐解きます。それは現代アートにおける広義の「他者性」や「関係性」へと作品を開く、制作のモデルと言えるかもしれません。デュシャンをはじめ、シュルレアリストからフルクサスまで、さまざまな作品に触れながら、思考と形を連結させる制作行為に潜むゲーム性への理解を深めていきます。「アート、完成なきゲーム」とあわせての受講がお勧めです。