人、モノ、場の関係性とアートの実践
スクール
アート、ともに過ごすこと、そしてともに過ごせないことから
8月6日(日)14:00 - 16:00
講師:飯山由貴
他者を表すというより、他者とともに過ごすこと自体を表すことの意味をさぐります。それは、他者との間に境界を引いてそれを眺める対象とすることではなく、その境界を溶かしつつ他者を引き受けることと考えられそうです。そしてそれは、もう会えなくなってしまった他者との関係についてもいえるとき、表現はどのような形で現れるのでしょうか。《オールド ロング ステイ》や《In-Mates》《家父制を食べる》などの作品をとおして考えます。
今どきのコレクティブとエコシステム
9月2日(土)13:00 - 15:00
講師:小澤慶介
2021年の英国のターナー賞や2022年のドクメンタ15では、アーティストのコレクティブ(集団)の活動が評価されまた取り上げられました。では、なぜ1人ではなく、集団で活動するのでしょうか。その理由はコレクティブによってさまざまですが、一つ一つ確認してゆくことによって、これまでのアートがどのようなものであったのか、また現代の社会がどのようなものであるのかが次第にわかってくるでしょう。Cooking SectionsやBritto Arts Trust、Trampoline Houseなどの活動をとおして考えます。
関係の組み直しと揺らぐアイデンティティ
9月30日(土)16:00 - 18:00
講師:百瀬文
家族や結婚など制度化された関係に至らずとも、自らが思うように関係を作り出すことに創造性を見出すことはできるでしょうか。もしできるとしたら、それはいかに芸術的な実践となり、また社会の姿や思惑を露わにするでしょうか。《Flos Pavonis》や《クローラー》などの作品ほか、講師が選びとっている男女3人による生活の実践にも触れながら、制度の手前で揺れている関係とアイデンティティについて考えます。
生きられた場としての彫刻
12月2日(土)16:00 - 18:00
講師:沢山遼
昨年、ファーレ立川にある岡﨑乾二郎の作品《Mount Ida ─イーデーの山(少年パリスはまだ羊飼いをしている)》(1994)が撤去されるという報道がありました。この問題は、芸術や彫刻におけるパブリックとはなにか、という問題を、私たちにつきつけるものでした。レクチャーでは、岡﨑の彫刻やその作品が内包する立川の歴史や日本の戦後史、同じく作品の廃棄が事件となった宇佐美圭司の絵画、ファーレ立川にあるほかの彫刻、ファーレ立川の隣に位置する昭和記念公園に設置された中谷芙二子の霧の彫刻のほか、イサム・ノグチ、ブランクーシ、ミケランジェロなどの彫刻を通して、芸術作品が置かれ、そこで生きられる「場(トポス)」や空間の問題について考えながら、みなさんと議論してみたいと思います。